妖夢修行日記、11~20


八雲紫の呼び出す修行相手は硬軟取り混ぜ融通無碍、
花嫁修業も始めたり、そしてついに従者修行であの男を呼び出し、
それが元で大もめにもめる事態に。


「妖夢修行日記・その11」

某魔剣使い「おい、ここはどこだっ!?ちょっ、今出席日数がヤバいってのに!」
某神官戦士「あそこの剣士さんと戦えば、元の世界に戻してくれるそうですよ。
二対一でいいそうです」
某魔剣使い「そ、そうか!なら早速始めようか!」
某神官戦士「そうですね!面白そうですし!」
(ぶん、と大剣を振りかぶる)
某魔剣使い「ぐわっ!」
某神官戦士「ぐわ?(振り返る)……あっ!」
(クリティカルヒット。某魔剣使い、再起不能、リタイヤ)
妖夢「あーあ…」

○月&日

 今日は多対一の戦いということで、日本人の魔法剣士と、
聞いたことのない神の神官戦士がやってきた。
日本人のほうは学校通いらしく、出席日数をとても気にしていた。
それで気が逸りすぎたのか、うかつに踏み出したところを
相棒になるべき神官戦士が振りかぶった大剣が直撃。
戦わずして戦闘不能になってしまった。
大剣もたいがいの大きさだったが、ひ弱な男だ。
 結局一対一となったが、この神官戦士の少女の力はものすごく、
男でも持ち上げるのに苦労しそうな大剣(斬馬刀以上だ)を
軽々と振り回して斬りかかってきた。
しかしさすがに速さは殺され、私に刃を当てることは出来ない。
こちらから何度も打ち込んでやったが、しかし彼女は耐久力も並外れていて、
ほとんどこたえなかった。
 しばらく戦いどちらも決定打が出ないところへ、どこからかいきなり
「サンダーウェポン!」
と声がして、彼女と私はまとめて稲妻に貫かれた。
衝撃で私が倒れたところに少女が斬りかかってきたので間一髪かわす。
それでも一瞬遅れた半身が両断されてしまい、
その衝撃がこちらにも伝わってきた。
しかし渾身の一撃だったらしく、地面に大剣が刺さって抜けなくなっていたため、
その隙に私が業風神閃斬を放って決着をつけた。

 あの声と稲妻の主については紫様は何も教えてくれなかったが、
少女は恥ずかしそうに、あれは自分の兄の仕業だ、と言った。
不意打ちについて恥じていたのだろうか?
もともと一対二ということだったし、
戦場では不意打ちということも日常茶飯事なので、
気にしないでもいいと言ったのだが・・・そういうことではないらしい。
 彼女の剛力は、単体ではそれほど恐ろしくはないが、
誰かと組むとかなり力を発揮しそうだ。
 
 戦闘不能になった男だが・・・紫様が彼のことを非常に面白がっていたので、
またこっちにやってくることがあるかもしれない。
それよりも、まず冥界へ行きそうになるのを幽々子様に止めていただくのが
先だったけれども。

 紫様、ふたつの某TRPG世界から不幸な魔剣使いと人間の限界を超えた神官戦士を召喚。
あと、もしものときにひそかに神官戦士の兄を潜ませておいた模様。
最終的にそれは無駄にならなかったわけで、すべては紫様の想定範囲内というところか。
「サンダーウェポン」のところは本来「ライトニング」であるべきところだが、これが「お約束」ということらしい。
不意打ちの直後に猛女の一撃を見舞いましたが、半身両断で済んだようです。人間部分にもダメージはいったようですが、
霊の部分はくっつけば問題なし。妖夢、直後の大技でカタをつけました。
 魔剣使いのほうは冥界へ旅立とうとするところを幽々子様に引き止められましたが、
どうやら紫様が彼のことを気に入ったようで、これからもオモチャにされるのかも。不幸なのか幸運なのか。

 元ネタはこれこれ

リクエストものでした。二人ともあんまり知らないキャラでしたが、特に魔剣使いのほうのリクが多かったので思い切ってやってみたところ、
かなりのレスをいただいて驚きました。人気ですね、この二人。

「妖夢修行日記・その12」

某人間「何だか変なところに連れてこられたけど、どうする?」
某右手「いいじゃないか。これから『後藤』と戦うことになるかもしれないんだ。
ちょうどいい経験になる」
某人間「そうかあ?」
妖夢「み、み、右手―――!?」

○月*日

 今日はごく普通の青年が来た、と思ったが、
紫様に限ってそんなことがあるはずがなかった。
彼の右手がいきなり変形し、目と口が現れて青年と話し始めたのだ。
びっくりした。本当は人間ではないのか、と紫様に訊いたら、
「普通の人間の右手に別の生物が寄生している」
ということだった。つくづく外の世界は何でもありだと思った。
 いざ手合わせとなったが、その右手は二つの刃を生やし、
伸縮自在、猛スピードで襲いかかってきた。
それをかわしていると、青年のほうも竹刀(貸した)で打ちかかってくる。
これも人間離れしたスピードで、さらに右手と完璧な連携を保っていた。
挟み撃ちされているようなものなので、よけるのが精一杯。
「幽明の苦輪」でも半身は私の攻撃をなぞるだけなので、
相手は各々で対応して止めてしまうし、あちらの反撃にも対応しきれない。
このまま一方的にやられてしまうのか、と思ったとき、
右手が急に縮み、元の右手に戻ってしまった。
 ここで紫様が、右手の生物が睡眠に入ってしまった、と仰って仕合を止めた。

 この右手の生物は一日四時間完全睡眠してしまうらしい。
ご飯を食べていただき、休憩していると、右手の生物が起きてきた。
右手にいきなり目玉と口が現れるのは心臓に悪いと思った。
 しかし話してみると、外見に似合わず非常に博学、知的で、
私の剣について長所や短所をいろいろ分析してくれた。
 二人?はこれから大きな戦いに向かうとのことだった。
彼らの力ならまさか不覚を取ることなどないと思うが、無事を祈りたい。
 ・・・私も、この半身で別々に攻撃してみたい・・・

 紫様、今日は高校生を召喚。一見どこにでもいそうな人間だが、彼の右手にはパラサイト(寄生生物)が。
元々「人間を食い殺す」という本能を持つ寄生生物は凄まじい戦闘能力を誇り、
さらに少年のほうもいろいろあって寄生生物の細胞が体内に拡散したため、これも凄まじい身体能力を獲得している。
 妖夢、少年の右手がいきなり異形に変形し喋り出したのでメチャメチャ驚く。
半分幽霊のくせにお化けが怖い彼女、相当ショックを受けたものと思われます。仕合の際にもかなり気になり、力を出し切れなかった模様。
「彼ら」にほぼ一方的に攻め込まれたものの、ちょうど寄生生物の睡眠ターイムが来たために終了。ほっと胸をなでおろした、かも。
 右手がまた目を覚ましてからしばらく語り合い、悪いイメージはずいぶん払拭できたようです。でもあの外見には慣れないというところ。
また、自分の半身と連携攻撃(幽明の苦輪のようなトレース攻撃ではなく)をしてみたい、と強く思ったようです。

 元ネタはこれ。人間ならば、一度は読んでいろいろ考えておくべき作品だ。
もちろん人外でも、内容が理解できるのなら読んでおいて損はない。

「妖夢修行日記・その13」

紫「今日の相手は、剣に関してはまだ素人なの。お手柔らかにね」
妖夢「は、はあ…(また変な生き物が来た…)」
某チャレンジャー「よろしくおねがいします~」
妖夢「こ、こちらこそよろしくお願いします」
某チャレンジャー「それじゃ、いくよ~」(刀を構える)

○月!日

 今日は緑色の奇妙な生き物がやってきた。
最初に来たマスター様とは別の生き物のようで、紫様によると、恐竜の子供ということだった。
恐竜というと大昔にいた蛇や鰐の仲間と聞いたことがあるが・・・人の言葉も話していた。
彼と一緒に、赤くて毛むくじゃらの生き物もやってきていた。彼のパートナーらしい。
 剣に関しては素人だからちょっと稽古をつけてくれ、と紫様が仰っていたので試しに仕合ってみたが、
本当に素人で、最初のうちは全く話にならなかった。
 しかし、何本かやるうちに彼はだんだんと私の剣についてくるようになり、
そのうちにコツでもつかんだのか、私の技をことごとく受けるだけでなく、
逆に私の技を返してくるようになった。最後には互角の打ち合いになり、打ち込まれそうにもなった。
とはいえ初心者というのは本当のようで、私の技を真似するだけでそれ以上のことはしてこず、
うまく裏をかけば一本は取れた。それでも、初めてでここまでやるとは恐ろしい才能だ。

 彼はなんでもまだ五歳ということだった。今までにもいろいろなことにチャレンジし、
それらをすべて身につけてきたらしい。凄い成長速度だ。私も安穏としていられない。

 紫様、チャレンジ対象を探していた某Gを連れて来て妖夢と手合わせ。
最初はド素人ながら、みるみる妖夢のスピードについてきてほどなく互角に戦うG、恐るべし。
スペルカード技を除く妖夢の剣技をあらかた身につけてしまった?
これほどの成長速度を持つ生物を目の当たりにした妖夢、こりゃぼやぼやしていられない、と気を引き締めた様子。
それが紫様の狙いだったのかも。

 元ネタは・・・言うまでもないですね。何でもやってるなこの子。
これ描いた時はネタがあんまり思いつかず、何となく彼にしてしまった。
そのため構図もメチャクチャなおざりで、Gの意外さでたくさんレスをいただいたものの、ちょっと申し訳ない気分。

「妖夢修行日記・その14」

妖夢(なんだあの服は!全然刀が通らない!)
某戦士長「どうした、その程度の打ち込みでは俺にダメージを与えることはできんぞ」
妖夢「くっ…」
某戦士長「君に一つ訊こう。君に守るべきものはあるか」
妖夢「…ある。私には、命に代えてもお守りすべき方が」
某戦士長「もしその人が危険に陥ったらどうする」
妖夢「幽々子様に仇なす者は、私がすべて斬り潰す!」
某戦士長「…フッ」
妖夢「何がおかしい!」
某戦士長「すまん。俺の部下とよく似ている、と思ったのでな。
さあ、その想いを、大切な存在を死守せんとする強い意志をその剣にこめてもう一度かかってこい!
勝負を決めるのは技ではなく、心なのだからな」
妖夢「…!は、はい!」(剣を構える)
某戦士長「ブラボーだ…来い!」

○月℃日

 紫様が「今日は特訓にぴったりの相手を連れてきた」と仰っていたが、
本当にその通りの強い方が来られた。
 私の剣はすべてその両腕と足で払われ、全く打撃を与えることができない。
その方の服は非常に堅く、少々の打撃は完全に防御し、それ以上の衝撃を受けると一瞬破損するが、
すぐに再生修復してしまう無敵の防護服だった。
それに、彼の素手の拳や蹴りはとても人間のものとは思えない破壊力で、
まともに受けたら楼観剣が折れてしまうのではないかと思った。
 すべての攻撃を防がれ私がどうしようもなくなった時、
その方は私に「大切な存在を死守せんとする強い意志」を剣に込めろ、と助言をしてくださった。
この剣を幽々子様のために・・・そう念じて最後の力を振り絞って撃ちかかり、
ついに渾身の力を込めた一撃がその方の防護服の胴部分を破壊した・・・が、
打撃を通しきることができず、服は修復を始めた。
だめか、と思った瞬間、脳裏に幽々子様の姿がよぎった。
そしてふと気づくと、私はその方の腹に白楼剣を突き刺していた。

 服が修復中のところへ白楼剣を突き刺したために傷は深いものでなく、ほっとした。
その方は、無意識とはいえ私が自分の限界を超えて一撃を繰り出したことを大変誉めて下さった。
とてもうれしかった。
 私は、その方の部下の一人に似ていると言われたけど・・・どんな人なんだろう。
 名前を聞こうとしたが、「秘密。なぜならそのほうがカッコいいから」と断られた。何か説得力があった。
またいつか、手合わせをお願いしたい。

 紫様、特訓にうってつけの人物を見つけて召喚。
無敵の防御力をもつ防護服、そして武器を持たずとも恐ろしいまでの破壊力を生み出す体術。チョップで海割り。
彼の体に攻撃を届かせればOK、という条件だったが、防護服の前に全く歯が立たない妖夢。
くじけそうになったとき、某戦士長は戦士の心得を妖夢に語り奮起を促す。
最後の力を振り絞った妖夢、渾身の楼観剣の一撃で防護服を割り、その一瞬脳裏に浮かんだ幽々子様に突き動かされて白楼剣を抜き、
無意識の一撃でついに攻撃を届かせたようです。
 彼はちょっと負傷したものの、蝶鍛えてるので大丈夫。いろいろと妖夢に戦士としての心得などを話して聞かせ、
妖夢も彼に心酔しちゃったり。ちょっと変わったところのある人間でしたが、妖夢にはとても有益な一日だった模様。

元ネタはこれ。全てにおいてブラボーな御仁。
妖夢の顔も和月風、ていうか斗貴子さん風に。臓物をブチ撒けそうなくらい。
全体的に狙ってやりました。

「妖夢修行日記その3・SIDE-B」

レミリア「あなたたち…こんな時間に何の御用かしら?」
某神父「我が神に逆らう愚者を絶滅するために来た」
レミリア「ああ、神の犬ね」
咲夜「ううっ…お…お嬢…さ…」
レミリア「あなたは寝てなさい。
――でもあなたたち、吸血鬼に夜、正面から戦いを挑むとはね。
身の程知らずにもほどがあるわ」
某神父「――あなたの手はもろもろの敵を尋ね出し
あなたの右の手はあなたを憎む者を尋ね出すであろう
あなたが怒る時、彼らを燃える炉のようにするであろう
主はみ怒りによって彼らをのみつくされる
火は彼らを食いつくすであろう

某銃使い「――あなたは彼らの裔を地の上から断ち
彼らの種を人の子の中から滅ぼすであろう
あなたは彼らを逃げ走らせ
あなたの弓弦を張って、彼らの顔をねらうであろう

二人「AMEN(そうあれかし)」
レミリア「感謝しなさい…本気で殺してあげる!」


 「その3」で、紫様は某狂戦士の連れの二人を紅魔館に置いてきたということでそちらがどうなったのか、
という問い合わせが多かったので、ちょっと幻視してみた。

*中国は銃剣と銃弾で紅魔館の門壁に吊られる
*侵入したところへ咲夜さんが夜勤メイドとともに立ちはだかる
*某銃使いがメイドたちを担当し、某神父が咲夜さんに向かう
*咲夜さん、殺すつもりで殺人ドールをはじめとするあらゆる技を神父に叩きつける
*しかし神父、人間離れした治癒能力で片っ端から再生回復
*そして咲夜さんの一瞬の隙を突き銃剣を叩き込む
*倒れる咲夜さん、神父がとどめを刺そうとするところへレミリア様が飛来、神父と対峙
*メイドたちを片付けた銃使いは神父とともに戦闘に入る
*レミリア様、弾幕モードではなく「本当の吸血鬼の闘争モード」で超本気に殺しにいく
*使い魔たちを出す、身体を変化させる、少々体を千切られてもすかさず再構築する、そしてものすごく力持ち
*神父も四次元ポ(ryから取り出す無数の聖別済み銃剣で対抗、銃使いは使い魔たちを撃つ。紅魔館庭園は激闘の坩堝に

 最後は、妖夢のほうの用事が終わった狂戦士を連れ帰る途中の紫様が、神父と銃使いの二人をぽいとスキマに放り込んで元の世界に送還。
いきなりおあずけ食らったレミリア様、憤懣やるかたないものの咲夜さんを放っておくわけにもいかず、仕方なく咲夜さん連れ帰って看護。
そして次の日、中国を呼びつけて憂さ晴らし。
中国→ほぼ白玉楼逝き

二人の唱える聖句は、旧約聖書・詩篇第21の9~10、11・13節。
ラテン語訳のウルガタ聖書では以下の通り。
(レスでラテン語文をいただいたので、こちらにも載せておきます。読みは一般的なイタリア語訛り方式。長母音は適当に)
9 Inveniet manus tua omnes inimicos tuos, dextera tua inveniet, qui te oderunt.
(インヴェニエト・マヌス・トゥア・オムネス・イニミコス・トゥオス、デクステラ・トゥア・インヴェニエト、クウィ・テ・オデルント)
10 Pones eos ut clibanum ignis in tempore vultus tui:
(ポネス・エオス・ウト・クリバヌム・イーニス・イン・テンポレ・ヴルトゥス・トゥイ)
Dominus in ira sua deglutiet eos, et devorabit eos ignis.
(ドミヌス・イン・イラ・スア・デグルティエト・エオス、エト・デヴォラビト・エオス・イーニス)

11 Fructum eorum de terra perdes et semen eorum de filiis hominum.
(フルクトゥム・エオールム・デ・テッラ・ペルデス・エト・セーメン・エオールム・デ・フィリイス・オミヌム)
13 Quoniam pones eos dorsum, arcus tuos tendes in vultum eorum.
(クウォニアム・ポネス・エオス・ドルスム、アルクス・トゥオス・テンデス・イン・ヴルトゥム・エオールム)

「妖夢修行日記・その15」

幽々子「剣もいいけど、妖夢は女の子だから、料理とかの腕も磨かないとね~」
紫「そうね~」

幽々子「よ~む~、まだなの~?」
妖夢「はいっ!ただ今!…!?」
ドドドドドド
妖夢(は、速い!それに、何て薄さ!)
某A「どうした?スープができたのなら早く持っていってくれたまえ」
妖夢「すみません、つい見とれてしまって…
すごい速さですね、こう言っては失礼ですが…男の方なのに…」
某A「なに、何事も長くやっていれば手馴れるものだ。
もっとも、集中力と向上心が必要だがね。
君は剣術を修めているようだが、剣の道も料理の道も、その根幹は同じものなのだ」
妖夢「そうですか…(なんだかわかる気がする)」
某A「サラダのほうは私がやるから、君はスープのほうをお出ししてきてくれ。
あちらはもう痺れを切らしているようだからな」
紫「妖夢~、いい匂いしてきてるわよ~、できてるんでしょ~」
某S「マチクタビレタ-(チン」
妖夢「あの人、何なんですか?」
某A「勝手についてきた。深くは訊くな」

○月>日

 
強そうな方が来られた、と思ったら、紫様と幽々子様は、
「今日は花嫁修業よ。妖夢も女の子なんだから」
と仰って、今日はその方と料理をすることになった。
紫様も勝手なお方だと思うが、今さら言うことでもない。
 その方は見た感じ武人なのだが、驚いたことに料理の腕も凄かった。
包丁さばき、仕込み、鍋の扱い、味付け、そして盛り付け、全てにおいて完璧な技。
何事の道もその本は同一、とその方は仰っていたが、説得力があった。
 昼は西洋料理のフルコース、そして昼下がりに腹ごなしで軽く手合わせをしたあと
(こちらも強かった)、
夜はごく家庭的な日本料理を作った。こちらは私も自信があったのだが、
その方はさらにその上を行っていた。何でもできる人だ。
 あとで料理のコツについていろいろと教えていただいた。
忘れないように書き留めておいたので、今後に活かそうと思う。
幽々子様はいつもぺろりと平らげて澄ました顔をされているので、
上達具合がなかなかわからないのが問題だけど。
 幽々子様は、
「これから食事を美味しく作れなかったらこの人と代わって貰うわよ」
とおっしゃっていたが、冗談に聞こえなかったので頑張らないと。

 しかし、その方と一緒に女の方が来られていたが、
食事は幽々子様ばりにたらふく食べ、
夜までの間は幽々子様や紫様といろいろな話で盛り上がり、
晩御飯ではまたたらふく食べていた。誰なんだろう?

 連れてきたのが紫様と幽々子様のどちらなのかは彼らがその時どこにいたかで違うでしょうが、どちらでもいいかという感じ。
なんていうかその・・・こんなんですみません。

「妖夢修行日記・その16」

妖夢(この老人、強い…なんて剣力だ。ならば!)
(スペルカード発動)
某魔法使い「何と、幻影?いや、分身か!
この井上真改一本では足りなくなるかもしれんな。
だが…面白い!」


○月<日

 
今日はシルクハットをかぶり黒いコートを着たご老人が来られた。
体格はいいものの一見ごく普通の紳士に見えたため、
今日はいったい何の修行になるのかと身構えてしまったが、
その方はおもむろに日本刀(井上真改らしい)を取り出し、剣での勝負を挑んできた。
ひとしきり打ち合ったが、その方は素晴らしい腕前で私の攻撃をはね返す。
年に似合わぬ恐ろしい力で、私のほうが押されてきた。
それに、その方の発する気は常人のものとは思われなかった。
そこで「幽明の苦輪」を発展させた「二重の苦輪」を試し、半身とともに打ちかかったが、
その方は刀一本では不利と見るや新たな剣を出現させて戦い、
そして、私の最大の技を出してみよと挑発してきた。
 ならば、と私は「待宵反射衛星斬」を放ったが、
その方はなんと巨大な偶像を召喚して出現させ、私の渾身の一撃を防いでしまった。
これを防がれては、私は負けを認めるほかなかった。

 その方は、手合いであの偶像を出してしまったのはいささか反則だった、
あれほどの技を繰り出してくるとは思わなかった、と仰って、私の勝ちと言ってくださった。
威風堂々としていながら慎ましく、立派な方だった。おそらく本気は出していなかったろう。
あの方が全力で私の師匠と戦ったならば、いったいどうなるだろうか。
 自分は、剣を振るうとき(には限らないが)いささか余裕が足りないような気がするので、
あの方を見習いたいと思う。なかなか難しいけれど。

 紫様、英国の開業医にして愛と正義の魔法使いを召喚。
英国紳士には似つかわしくない井上真改二尺三寸を揮って妖夢の剣をことごとく受け流す。どんなに攻めても立派な紳士。
妖夢の二重攻撃ももう一本の剣を出現させて受け流し、妖夢に「最大の技を出して来い」と挑発する余裕。
そこで妖夢、「待宵反射衛星斬」を放ったものの、英国紳士は巨大な偶神を召喚してこれも防御。
最大の技を防がれた妖夢は潔く負けを認めたものの、紳士は「偶神は反則だった」と言って妖夢に勝利を譲って帰っていった模様。
その悠然たる姿勢に、妖夢は深く心を打たれたようです。

 紫様、彼を連れてくる時にもう一人団扇を持って翼の生えたのが一緒に来てしまったので、
こっちの仲間だろうと幻想郷に住む天狗たちのところに放り出していたみたいです。
彼は某少女からいろいろ取材を受けたとか。

元ネタは、このあたりで
戦う老人はカッコいい。

「妖夢修行日記その16・SIDE-B」

文「あ…駄目ですよ」
某烏龍「駄目ってことはないだろう」
某烏龍「こんな僻地じゃ取材も不便だろうしさ
俺はいいネタ持ってる奴知ってるから 紹介してやるってこう言ってるんじゃないか」

で←。

その時、
某魔法使い「お邪魔だったかな?エドワード・ロング君」

某烏龍(文から離れて両手を挙げる)「いや 別に」
紫「帰るわよ~」

 天狗たちのところに放り出された奴の消息が気になるという方がいらっしゃったので。
なんか見なかったほうがよかったような状況になってます。取材するつもりが逆取材。
でも正義の魔法使い氏と紫様がやってきて釘刺したので安心。
 文が彼から誰かを紹介されてスキマ経由で外界に取材に行ったりするかどうか・・・は定かではない。

彼については、こちら参照。
遊郭によく通ってるみたいなので、文のような少女は守備範囲外?

「妖夢修行日記その17・・・?」

妖夢「お帰りなさいませだ幽々子様!
ククク…さぁどうご奉仕してやろうか幽々子様 ククク…」
幽々子「…ゆ、紫っ 紫――――!
なっ 何よ紫っ 何なのよこの変質者は?それに妖夢が――!?」
紫「何って?今回は従者スキルを上げる修行だったんだけど?」
某メイド男「ククク…この娘 オハヨウからオヤスミまで
キッチリご奉仕する一級の小間使いに仕立て上げたぞ 感謝するがいい」
幽々子「紫!外界食べ歩きって言って私を連れ出して!
こういうことだったのー!?」
紫「あらあら、凄く立派な従者になったみたいじゃない?
もう日常生活に何の心配もいらないわね~」
幽々子「い…嫌ぁああああああっ!
私の妖夢を!私の可愛い妖夢を返して――!」

 紫様、幽々子様を「外界食べ歩き」に誘って外出。
その間妖夢には一人の修行相手をあてがっておくということで、幽々子様も特に気にかけることなく出て行ったのですが・・・
数日後帰ってきたらものすごい事態。
妖夢は超一級の(変態)メイドさんへと訓練、ていうか洗脳済み。言葉遣いも雰囲気もまるで別人に。
幽々子様半狂乱になって紫様に食い下がるも、「立派な従者になったじゃない」と取り合ってもらえず。
 その後幽々子様は、寝起きが悪いと胸元にホース突っ込まれて放水されるなどの過剰なご奉仕を受け、
さらに妖夢の発する攻撃的極まりない言葉の数々(「この破廉恥幽々子様め!」とか)に気が狂いそうになって、
「妖夢を元に戻して!」
と紫様に泣きを入れました。

紫「何が足りないの?不足はないでしょう?」
幽々子「不足はないけど、あんなの妖夢じゃない~。ドジでのろまな亀でいいから、元の可愛い妖夢に戻して~」
紫(さすがの幽々子もあれには耐えられないみたいね。まあ、久しぶりに幽々子の困り顔見れて面白かったし、そろそろいいかな)
「はいはい。幽々子の頼みじゃしょうがないわね。何とかするわ」
幽々子「ありがと~(うるうる)」
紫(とはいえ、あの男の強烈なインパクトを払拭するには、そんじょそこらのメイドや執事じゃダメね~。どうしたものかしら。
あのワーハクタクに頼むってのも芸がないし)

紫様、どうするんでしょう。ていうか紫様邪悪すぎます!

彼については、こちら参照。
メイド史上最強の男。高山善廣ハマり過ぎ。

「妖夢修行日記その17・・・?の2」

幽々子「ありがとうございます~。おかげで妖夢が元通りに…(うるうる)」
某万能執事(44代目)「この程度のこと、何ということもございません。
もっと時間があれば召使いとしての道を完璧に教え込めるのですが、
私も主を持つ身ゆえ・・・申し訳ございません。
しかし、どこの誰があのような事を。あのようなもの、召使いとは呼べませんぞ
・・・おや、お嬢様。何か御用ですかな」
幽々子「?」
某万能執事「……なるほど、魔法使いと空中戦に。承知いたしました」
(スイッチを取り出し、何やら集中しておもむろにボタンを押す)
幽々子「??」
某万能執事「…目標撃破、でございますか。よろしゅうございました」
幽々子「それは何でしょうか?」
某万能執事「大したものではございません」

妖夢「…何だか悪い夢を見ていたような気がします…」
紫「あはははは。まあ、これに懲りて幽々子もちょっとはあなたを大切にするでしょうね。
でも、そうでない場合はこのスイッチを押しなさい。
ちゃんと幽々子にロックオンされてるから」
妖夢「何ですか、これ?」
紫「うふふふふふ」

 紫様、某魔女に仕える万能執事に妖夢のリカバリーを依頼。彼も主人がいる身ゆえいったんは断ったようですが、
「面白そうだから自分も行ってみようかしら」
との魔女の言葉に、二人揃って幻想郷へ。
 万能執事はその正体は人ならぬ上位悪魔のため、すぐに妖夢の呪縛(?)を解き、正しい従者としての躾を施したようです。
彼の指導力は掛け値なしの本物のバカの某少年探偵に英語をマスターさせたほどなので、それくらいは朝飯前。
 感涙の幽々子様からお礼を受けているところに主人からの依頼があり、スイッチをポチっとな。
サテライトレーザーで目標撃破した模様。

 紫様、「幽々子もちょっとはあなたを大切にするでしょうね」って自分のことを完全に棚に上げてますが、
もちろん紫様は心に棚を無数に作っていらっしゃるので、何の悪びれるところもありません。
そして妖夢に秘密のボタンを伝授。
たぶん押したら幽々子様にレーザーが降ってきます。

彼については、こちら参照。

あと、何気に紫様がIIの某カードデュエリストのコスしてます。

「妖夢修行日記その18」

某先生「妖夢さん、でしたね。それでは始めましょうか」
妖夢「・・・・・・」
某先生「?どうしたんですか?」
妖夢「…紫様、女の人呼ぶときはいつもいつも綺麗でスタイル抜群の人で…
どうせ…どうせ私なんか…私なんか―――!」
(半身を放って某先生を捕捉する)
某先生「きゃっ!?ちょ、ちょっと妖夢さ…ふあっ!?」
妖夢「この胸か!悪いのはこの胸かー!」
某先生「ちょっ…そんな…ダメです…っ!」

幽々子「…紫?」
紫「なあに?」
幽々子「例の件以来、妖夢が妙にキレ易くなったんだけど…」
紫「ああ反抗期ってやつね。大人の階段のぼる、って感じで実に結構なことじゃない?」
幽々子(この女…全く反省の色がない…!今度シメてやるッ!)

*月#日

 
今日は元軍人で、現在は家庭教師をされているという方が来られた。
この時、私はちょっと取り乱してしまって、その先生に大変失礼なことをしてしまった。
・・・もっとも、やりすぎてしまって逆にお仕置きをされてしまったのだけれど。
 改めて立ち合ったが、この先生は元軍人というだけあってとても強く、様々な剣技を持っていた。
また、その他にも様々な知識を持っていて、実に文武両道な方だった。
・・・才色兼備ともいえるけれど。正直うらやましい。私もいずれはああなれればいい・・・と思う。

 それにしても、最近自分をいまいち御しきれないような気がする。
最近は何かと刺激の強い人が来ていたので、その影響だろうか。
 幽々子様は今度紫様に目にもの見せてやるとおっしゃっていたし、
大事にならなければいいのだけど。

 今日やってきたのは、元帝国軍人で、今は家庭教師で生計を立てている女性。
さて手合わせ、というときに妖夢が何だかキレちゃって大変。
先生を半身で縛り上げて胸責め。刀も突きつけて大変危険。
・・・でもやり過ぎて抜剣覚醒させてしまい、逆にひどい目にあったようです。

そういえば妖夢の場合、半身で相手を捕捉してから斬撃を叩き込むってことできるんでしょうか。
カード宣言でエクシードチャージ、半身を飛ばして相手をがんじがらめに縛り上げ、
楼観剣を逆手に構え白い閃光となって突撃、相手を貫くと人魂マークとともに相手が崩れ落ちる・・・
カイザっぽくて素敵です。
とかいってたら、半身飛ばしではヴァンパイアセイヴァーもあったし「東方奇闘劇」でも妖夢がそういう技を出してたとのこと。
むー、不勉強。

先日の事件以来、どうも妖夢はキレやすくなった、と幽々子様は思ってるようです。
妖夢も、紫様の言うように大人の階段上ってるとは思うのですが、さすがに変態化した時の後遺症というのもあるかも。
幽々子様、今度紫様に思い知らせてやるみたいですが。

彼女については、こちら参照。

「妖夢修行日記その17の3」


マヨヒガ:
紫「いつも妖夢がお世話になってるお礼だなんて、幽々子も柄になく殊勝ね。
何かしら?どうせ食べ物でしょうけど」
(箱を開ける)
紫「……ッ!」
某爆弾「……(汗)」
紫(こっ、これは……幽々子め、なんて物を…
くっ…紫、いじめちゃだめよ…いじめちゃ…だ……)
紫「く…くう……っ……だ、だめー!カラダが、体が勝手にいいいYYYYYYY」

ボ ン

白玉楼:
紫(スキマから登場)「幽々子ォォォ!」
妖夢「うわー!」(紫様の体はボロボロだ!)
幽々子「あら~、思ったより早かったわね~。贈り物はお気に召したかしら?」
紫「ちょっと表出ろ」
幽々子「あらあら、ずいぶんと喜んでいただいたみたいね、嬉しいわ」
紫「ええ…私からもたっぷりとお礼をさせてもらうわ。その身に嫌というほどね」
幽々子「うーん、妖夢の前だし、あんまり激しくしないでね?」
紫「たぶんご期待には添えないと思うわ…」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

妖夢「みょ…みょん…」

 妖夢を散々に弄られて怒り心頭の幽々子様の反撃。
人の嗜虐心をあおり、いじめると爆発する爆弾を包んで「妖夢がお世話になっているお礼」と紫様に送付。
嗜虐心の塊のような紫なら必ず爆発させるはず、との幽々子様の予想はピタリ。
紫様は、ダメだダメだとわかっていてもやっぱり爆発させてしまい、幽々子様の策略に激怒して白玉楼特攻、
幽々子様もさらにネチネチと煽ったので紫様さらに怒って大喧嘩に。
妖夢どうする。

なお、幽々子様もこの爆弾を前にすると思わず爆発させてしまうので、
梱包には、嗜虐心の少ない妖夢がその任に当たりました。

この爆弾については、こちら参照。
単行本では緑色、文庫版では肌色だったので、どっちにしたものかと思って肌色にしたらかなりわかりにくくてすみません。

「妖夢修行日記その17の4」

(幽々子様&紫様、白玉楼庭で弾幕とか格闘とか取っ組み合いとか大暴れ中)
妖夢「(あああ、庭が滅茶苦茶に…)ふ、二人ともやめてくださーい!」
(二人とも聞く耳持たない)
妖夢「(二人に近づいて)幽々子様!紫様!もう喧嘩はやめて仲直りしてくださいっ!」
幽々子&紫「うるさーい!」(蝶&墓石)
妖夢「(直撃)みょん!」

プッツーン

妖夢「…やめろって…さっきからやめろっていってるだろーがこの…
ド低能がァァァ―――ッ!!!」

(某・風の流法闘技)

幽々子&紫「ゲブッ!」

ドッグシァ


妖夢(我に返る)
「あ…あれ?」

 白玉楼庭で幽々子様・紫様が双方奥義を尽くしての大喧嘩、
妖夢が丹精込めて手入れした庭は見るも無残な情景に。
さすがに妖夢も黙っていられなくなり、割って入ろうとする。しかし二人とも妖夢の言葉に耳を貸すわけない。
しまいには蝶と墓石を飛ばして、妖夢を直撃。

 でもこのショックで変なスイッチが入り、妖夢は凄まじい大技一発で二人を瞬時にKO。
これまでの修行(マトモなのやヒドいのやひっくるめて)の成果が存分に発揮されたといえよう。
それからの妖夢、二人の手当てと庭掃除でとても忙しくなったらしい。
下手にお仕置きしてまた変なスイッチが入ったらいけないと思われたのか、二人からはそれほど咎められなかったとか。

この大技については、こちら参照。
左腕を白楼剣ごと右回転!
右腕を楼観剣ごと左回転!
その二本の剣の間に生じる真空状態の圧倒的破壊空間はまさに歯車的弾幕の小宇宙!
なのか。
ていうかすんごい筋肉。北斗神拳ばりに潜在能力をすべて引き出したのか。
しかし何でこんな投げやりなネタを・・・ヨウムとワムウが似てるとかどこかで聞いたような気がするし、
小アルカナの「剣」は「風」に対応してるとか、そういうのが潜在意識で光ファイバーコミュニケイションしたのかも。
妖夢の剣技にも「風」のつくものがあるし。

「妖夢修行日記・その19」

某平家の亡者「童ながらやりおるわ!相当の修練を積んだものとみえる。
その身軽さ、あの忌々しき源家の若造を思い出すぞ。
久方ぶりの面白き戦かな!」
妖夢(奇妙な気分だ…平家物語で読んだあの人が私に向かってくるなんて!)
某平家の亡者「さあ、次はどのような技を見せてくれるのだ…おや」
妖夢「桜の花が…何で今、いったい?」
某平家の亡者「どうやら時間が来たようだ。
童よ、一つだけ言っておこう。決して憤怒や怨恨もて剣を振るってはならぬ。
我は源家への恨み深きゆえに、生前に両の眼を潰し世を捨てたにもかかわらず、
死しては冥府魔道を彷徨う身となり、今なお苦海に沈んでいるのだ。
わがあさましき姿を心にとどめ、ゆめ忘るる事なかれ。
最後に、わが奥義を見せてやろう。
わが剣、旋風の如し。必殺・旋風剣――」
妖夢「よくわかりました。あなたの教え、心に刻んで忘れません。
その返礼として、私の最後の一太刀はこの白楼剣にて――
あなたの魂を斬らせていただきます!
南無大悲観世音 願わくば我速やかに一切衆を度(わた)さんことを
――迷津慈航斬――」

1コイン天界を目指すガキ「兄ちゃん、頑張れ~」
幽々子「道中まんじゅう食べる?」


*月×日

 今日は、幽々子様が(紫様には任せておけないというので)
修行の相手を呼んできてくださった。
 驚いたことに、それは平家物語「弓流し」での「錣引き」で知られる猛将、
悪七兵衛との異名を持つ平景清公だった。
しかしその姿は、白面赤髪、火眼金睛という恐ろしい姿となっていた。
生前の業の深さにより、死して後、そのような姿になったということだった。
 景清公の剛力をまともに受けることはできないので、
私はその剣をかわしながら技を尽くして打ち込んでいった。
仕合もたけなわとなったころ、不意に季節外れの桜の花が舞い始めた。
驚いたが、よく見ると景清公の体が桜花と化して徐々に崩れていた。
ここに留まれる時間が過ぎようとしていたのだ。
 景清公は最後に、決して憤怒や怨恨をもって剣を振るってはならぬ、
さもなくば、死してはあさましき姿で冥府魔道を彷徨うことになろう、と
お教えくださった。そして、最後の技の構えに入られたので、
私も、白楼剣での迷津慈航斬で応じた。
 私が景清公と打ち合ってすれ違い、振り向いた時には、
公の姿はもう桜の花びらの山と化していた。
私の剣は公に届いたのだろうか。
迷える公の魂を、少しでも彼岸へと近づけることができただろうか。
幽々子様に訊いてみたが、いつもどおりはぐらかされてしまった。
 あのような立派な武人でさえ、生前の業により修羅道へと落ちてしまう。
剣を取る意味――それについて深く考えさせられた一日だった。

 最近紫様がネタ切れでも起こしたのか変なのばかり呼んでくるので、
今日は幽々子様が「京わらんべのよぶなる上総の悪七兵衛景清」様を呼んできました。
今年の大河ドラマをチェックしてたようです。この方は出なかったけど。
屋島で「必殺旋風剣」やってくれたら視聴率倍増だったのに。
ここでの姿は、もちろんこちら準拠。甲冑はナムカプ版で。
 景清公は「錣引き」のエピソードでも知られる剛力の持ち主、その剣をまともに受けていたらガンガン削られてしまうので、
スピードと跳躍力を活かしヒットアンドアウェイで戦う妖夢。その姿に、公はかの高名な源家の御曹司を思い出したようです。
 妖夢の巧みな立ち回りでなかなか勝負がつかないうち、公のタイムリミットが来てその体が桜の花びらと散ってきた。
公は妖夢に忠告を与え、彼の必殺技・旋風剣を繰り出す。妖夢もそれに応え、彼の苦しみを断つべく迷津慈航斬を繰り出す。
二人が打ち合ってすれ違った瞬間、公の体は完全に桜の花びらと化しその場から消滅。
はたして妖夢の剣は彼の魂を斬ることができたのか、彼の魂は彼岸へと渡ることができたのか――
それは幽々子様や、「あっちのほうの方々」にしかわからないこと。


 悪七兵衛景清は、藤原秀郷(平将門の乱を鎮圧した。また、俵藤太の別名で三上山の百足退治の伝説を持つ)の子孫といわれる平家の武将。
『平家物語』では壇ノ浦の合戦ののちいずこともなく逃れたと記されているが、
後にいろいろな伝説が生まれ、またそれらは能や歌舞伎の題材にもなった。
彼はいったん熱田に身を隠したのち、東大寺の落慶供養に赴いた源頼朝を暗殺しようとして果たせず(能「大仏供養」、金春流では「奈良詣」)、
鎌倉にて再び頼朝暗殺を試みるも失敗して捕縛され、
その武勇を惜しんで帰順を勧める頼朝の言葉を毅然として突っぱね、感心した頼朝はこれを殺さずに日向に配流、
あるいは日向別当として領地を与えた。
この時頼朝が彼の両目を潰したとも、あるいは、景清自身が源氏の世を目にすることを厭ってその目を潰したともいわれる。
その後、日向に配流された景清のもとに彼の娘・人丸がはるばる訪ねてきて再会、景清は彼女に死後の回向を頼んで別れる(能「景清」)。
彼はそのまま日向の地で没したといわれ、彼を祀った「生目神社」が宮崎市にある。
この神社は景清がくりぬいた目が祀られたところとされ、眼病に霊験があると伝えられている。

 妖夢がスペルカード発動前に唱えたのは「観音十大願」の第三願。「度」は、悟りの岸へ渡すの意。
景清にナムカプでの必殺旋風剣の前向上「わが剣、旋風(つむじ)の如し」を言わせたので、
絵板のコメントで「迷津慈航斬で送ってあげてください」といただいたのにひっかけて追加させていただきました。

 コメントでは安駄婆セリフレスにだじゃれレス多数。きさまこのゲームやり込んでいるなッ!という人多いですね。あのFC版まで!
安駄婆は幽々子様のことだったのk(ry
幽々子様と一緒にいる子供(1コイン天界のための時間調整中)も、これから閻魔様のもとを目指すようで・・・
三種の神器を集めるのは大変なので、手っ取り早く三途の川の渡し守(職務怠慢気味)の頭上を飛び越えていくらしい。
横着せず慧音さんとこにも行け。
コメントいただいたとおり、微妙にジョジョ第1部のジョナサンVSブラフォードを意識してます。

「妖夢修行日記その20」

某半人半魔「なかなかSweetな腕前だ!
だが、おまえの剣には決定的に欠けているものがある!」
妖夢「何をっ!」
某半人半魔「戦いにおいて最も大事なことは何だと思う!」
妖夢「……平常心か?」
某半人半魔「やっぱりわかっちゃいねえな!
いいか教えてやる、戦いにおいて最も大事なことは…
Stylish!!!」
妖夢「す…すた…?????」
某半人半魔「似た物同士のよしみだ、手本を見せてやろう。
Are you Ready―――――?!!!」 

*月¥日

 幽々子様と紫様が仲直りされたようで、また修行相手の方がやって来られた。
強いことは強い方なのだが、ちょっと変わっていた。
 とにかく戦いに「すたいりっしゅ」というものを求める人で、
これは日本語の「粋」にあたるらしいが、
「格好よく勝つ」ということを至上のこととしていた。
 自分は剣にそのような虚飾は無用と思っているが、
その人の剣は、確かに人の目を釘付けにするような華麗なものだった。
 幽々子様も美しくも鋭い攻撃を身上とされているし、
自分もそういう「余裕」のある戦いができたほうがいい、のだろうか?
 この方は剣だけでなく、二丁の銃や籠手まで次々に持ち替えて自在に戦うことができ、
その演舞は素晴らしかった。
銃を撃たせてもらったが、「相手を倒す」という手ごたえがなく、
またそれが空恐ろしかったので好きになれなかった。

 途中からは手合わせというより教室みたいになってしまった。
それが終わると、「ピザ」という食べ物――
この前の料理修行の時に教えてもらっていたが――でこの方をもてなした。
とりあえずは喜んでもらったが、しかしこの人の行儀はあんまりよくない。
本人は「これがすたいりっしゅ」ということで直す気はないようだったが・・・
まあ、この世界の人ではないらしいので、礼儀作法はそれぞれなんだろう。
 音楽がほしいというので騒霊三姉妹を呼んだが、
興が乗ったのかこの方はいきなりギターを取り出して弾き始めた。
これにルナサが張り合ったので、白玉楼が大変なことになった。
この方は最後には恐ろしい姿に変身したので、肝を潰した。
・・・・・・とにかく、奇矯な人だった。

 紫様と幽々子様の関係が修復され、紫様が新しい修行相手を召喚。
悪魔も泣き出す半人半魔のデビルハンター。
まだ若い時分のを連れてきたため、非常にチンピラ口調で挑発大好き。
手合わせというより、途中から「スタイリッシュ道場」になったようです。
 その後、プリズムリバー三姉妹をジュークボックス代わりに一同でピザパーティー。ピザ食う姿もスタイリッシュ。
興が乗ったのかいきなり「派手にいくぜ!」とか言い出してネヴァンの生演奏、
これにルナサが張り合い、白玉楼にて両者の花映塚的対戦。
 とにかくこの日はいろいろと騒がしい一日だったようですが、
妖夢も、この男が自分と似たような存在ということで、気に入らない面もあるものの好感を持っていた様子。
スタイリッシュバトルに関しては保留の模様。

 元ネタはこれ
「スタイリッシュなポーズ」を取らせようと思ったら自然に「荒木立ち」ぽくなってしまった。
持ってるのは一応リベリオンのつもり。
 手先不器用でアクションは苦手なためプレイしたことはないけど、
リクエストがちらほらあるので挑戦。雰囲気出てますか?
描いてるうちにやりたくなってきた。スタイリッシュだから。

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